■
早朝。
マイメン、半ちゃんより連絡。
知らない人のために説明しておくと、半ちゃんはモンテリマというバンドのギターボーカルとして活動している人物である。
おれがこっそりとWEBにあげていた、ニューアルバムの音源を聴いてくれたとのことだった。
彼の性格を知る故、人の音源に対して積極的に感想を伝えるようなタイプじゃないので、その感想を聞きとても嬉しくなった。
大なり小なり、人の心に引っかかるものであったなら本望である。
告知後、もしこのような感想が集まったなら、おれは感謝の気持ちがいっぱいになって死んでしまうかもしれない。
------------------------------------
最近はもっぱらフリースタイルラップバトルの動画や配信を見つつ、国内外問わず、新規であがってくるヒップホップの音源を聴いたりしている。
音源を聴く、というよりYoutubeを見ている、という方が正しいか。
ヒップホップについては過去のブログでもたまに言及してたと思う。
不良の音楽がロックからヒップホップに変わった理由について。
とかね。
おれはといえば、高校生の頃、OZROSAURUSの「Rollin'045」というアルバムを聴いて以来のヒップホップリスナーであり、その後は国内外問わずヒップホップカルチャーにのめり込む二十代を過ごした。(同じくらいバンドも聴いていたが。)
十数年を経て、今まさにこの国ではヒップホップブームの到来となっている。
ニュースや情報番組を付ければラッパーがフリースタイルをしていたり、高校生ラップ選手権が中高生の間でブームになっていたり、Youtubeの広告動画もいつの間にかラップばかりだ。
ヨー、ヨー。
などと言ってりゃ世間の自称常識人たちに茶化される時代はついに終わりを迎える。
明日発売のお洒落雑誌の権化「SWITCH」までもが総力日本語ラップ特集である。
そこまで来ると、すごい時代になったなと思う。
それほどの包容力を日本のヒップホップは、第一次ブームと言われたさんぴんCAMPの時代からいままでの間にしっかりと蓄えていたということ。
それが高校生ラップ選手権、フリースタイルダンジョンといった”フリースタイルバトル”というトリガーによって世の中に認知されただけ、という風に捉えている。
もともとの包容力がシーンの中に既にあったという話。
北のブルーハーブから南の赤土クルー、果てはアメリカのshing02まで。
インターネットの普及と相まり、それは直線で繋がることとなった。
2000年以降の話。
昨今のヒップホップブームは、いわゆるネトウヨやアニヲタなどのオタク系の人たちにも支えられているという意見を耳にする。
それはヒップホップという表現自体が、その見た目や、歯に絹着せぬ言い回し、自身のバックグラウンドから来る歌詞が重要視される聞き方、元いじめられっ子や不良、地元をレペゼンする姿勢などを総じた”キャラ萌え”が便乗するからと思われる。
自分に置き換えやすい。
そして良くも悪くも批判や批評の標的として”面白い”。
分かり易く言うと、その構造自体が実はとても”芸能的”であるということ。
ラッパーがマリファナで捕まることが、今後一般紙のスキャンダルとして紙面を賑わしていくことは想像に容易い。
またそれ自体があまりダメージにならない所がすごい。
一時、エイベックスからメジャーデビューしかけた練マザファッカーのD.Oがお縄でデビューを取り消されようが、それすら人気に拍車がかかったようにしか見えない。
それこそヒップホップの特異性であり、ポップシンガーやロックバンドには成し得ない部分でもある。
リアルなラッパーならアウトローな部分など元々歌詞で表現してきてるし、誰もそこに純朴さなど求めていない。
刺青だらけのラッパーは、もともとお茶の間の人気など持っていないのだ。
なのにその規模はどんどん増してきている。
いちファンとして見ていても、今のヒップホップシーンにおける全国の群雄割拠は、子供の頃にハマっていた「信長の野望」のようであり、どんどんと新しい強いやつが現れる「ドラゴンボール」、さながら「北斗の拳」のようでもある。
MC漢のやっているお散歩番組(おれも見ている)の生放送に、10万人のビューアーがいて、しかもそのほどんどが男の視聴者であるということには大きく納得した。
言語で捲し立てる男文化 。
その中でKOHHのような独特の色気を持ったスター選手がいたりするからまた面白い。
ちなみに宇多田ヒカルのニューアルバムや、ハイスタの突然出された新譜のイニシャルが約10万枚である。
NET番組のビューアー数とCDの売り上げ枚数を比較するのは少し強引な気がするが、そんな熱狂的なファンを持つMC漢のビューアーがもしCDを買ったなら。
MC漢こそ、今のフリースタイルバトルの原型を作った張本人であり、フリースタイルダンジョンにも出演中のヒップホップ界きっての”タレント”でもある。
シーンの最重要人物であるのはヒップホップファンなら公然の事。
今のヒップホップブームを大きさを示す、良い指標であるように思う。
ラッパーを志していない自分としては、このブームが続く事にはいい事しかない。
もっと楽しませてくれよ。と思うばかりだ。